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ジョグジャカルタ、バリ研修体験記 #3〈ボロブドゥール遺跡観光〉

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2024年7月8日~7月12日にかけて、ガルーダインドネシア航空主催のジョグジャカルタおよびバリ島研修旅行に参加をしてきました。 今回はボロブドゥール遺跡観光の模様をお届けします。
ボロブドゥール寺院はカンボジアのアンコール遺跡群、ミャンマーのバガン遺跡と並び〈世界三大仏教遺跡〉と称されており、インドネシアの有名な観光地のうちのひとつです。2023年に天皇が訪問をされたことで、日本人の間でも知名度が上がりました。ボロブドゥール寺院は、ジョグジャカルタ市内から車で1時間半ほどのマゲラン〈MAGELANG〉という場所にあります。
市内からバスを乗り継いで寺院近くまで向かうことも可能ですが、今回はプランバナン寺院との一日観光プランへの参加のため、観光バスでホテルから直接ボロブドゥールへ向かいます。

2024年12月現在、個人でボロブドゥール寺院へ行く場合、専用のWEBサイトでのチケットの購入が必要となっています。WEBサイト内で希望の日付、入場時間を選択しチケットを購入します。またチケットには、寺院頂上まで登頂可能なチケットと寺院のふもとまでの訪問に限られたチケットの2種類がありますので注意が必要です。旅行会社経由での予約では、ジョグジャカルタ市内からボロブドゥール寺院への送迎や入場チケットの代行手配が可能です。

密林から突如として現れる巨大な遺跡

単体の仏教遺跡としては、世界最大規模

常駐の日本語ガイドの案内で見学が可能

遺跡保護を目的とした専用のサンダル

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入場口でチケットを提示し、公園内に整備をされた森の中を進むと、突如として目の前に現れる巨大な遺跡。あまりの壮観な光景に思わず息をのみます。階段を上り遺跡に近づくと、約33mの遺跡の大きさが更に際立ちます。ボロブドゥール常駐の日本語ガイドの説明を受けたあと、専用のサンダルに履き替えます。ボロブドゥール遺跡では、近年の観光客増加による遺跡損傷が問題となっており、極力石造りの建築に優しい角の無い専用の履物の使用を義務付けられています。寺院ふもとまでのチケットを購入した場合、入場できる範囲はここまで。また入場時にリストバンドを渡され、予約した時間内の滞在となるよう、滞在時間も管理をされています。

階段は少し急なので注意が必要

回廊は全部で4層からなる

回廊側面の壁画には、ブッダの一生や仏教の教えが描かれている

最頂部には計72基の仏塔が建つ

頂上からは広大なジャワの密林や山々を見渡せる

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サンダルに履き替え、いざ登頂を始めます。ボロブドゥール寺院は頂上から5層の方壇、4層の回廊に分かれており、回廊にはブッダの一生や仏教の教えを描いた壁画が描かれています。5層目の最頂部は、更に3層の円壇に分かれており、下から「欲界」「色界」「無色界」と仏教の精神世界「三界」を象徴する構造になっている。千年以上前、多くの僧侶がこの地を訪れ修行を行っていました。密林の中にたたずむ巨大な遺跡から、往時の仏教王国の繁栄やこの寺院が人々の心の拠り所となっていたことが読み取れます。そして頂上から望む雄大なジャワの平原は、日本では目にすることのできない感動的な景色。是非当地に赴き、直接目にしていただきたいです。

ジョグジャカルタ近郊のサンビサリ寺院。9世紀にヒンドゥー教寺院として建立された。

ジョグジャカルタ近郊のボコの丘。8世紀頃に仏教寺院として建立され、9世紀にはヒンドゥー教寺院へ変貌していたと考えられている。

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この遺跡の特筆すべき点は、8世紀頃に建立をされた後、1000年もの間火山灰に埋もれ、人々に忘れ去られていたところにあります。日本の時代に当てはめてみると、おおよそ平安時代から江戸時代末期に該当します。なぜこれほどの大きな寺院が、長きにわたって歴史の表舞台から姿を消していたのでしょうか。それはインドネシアの文化的重層性と関係をしています。インドネシアには5世紀頃に仏教が伝来したと考えられており、その後スマトラ島のパレンバンを中心としたスリウィジャヤ王国や、ボロブドゥール寺院を建立したと考えられているシャイレンドラ王国など、仏教を中心とした国造りが行われていました。しかし8世紀以降、ヒンドゥー教王国が勢力を強め、12世紀頃からはイスラーム教国が影響を強めていきます。このようにジャワの主な宗教は、仏教⇒ヒンドゥー⇒イスラームと変遷をし、火山の噴火により姿を消したボロブドゥール寺院は、時代とともにその存在も忘れ去られていきました。
ボロブドゥール寺院が再び歴史の表舞台に登場するのは、19世紀となります。当時インドネシアを治めていた、イギリスのジャワ副総督ラッフルズが中部ジャワを訪れた際に、地元に伝わる伝承から火山灰に埋もれた遺跡の存在を知り、現地の発掘を行ったところ巨大な仏教遺跡が発見されました。1991年にユネスコ世界文化遺産に登録をされ、現在も遺跡の修復、発掘が進められています。
ボロブドゥール寺院をあとにし、道中で昼食を取ったあとプランバナン寺院へ向かいます。次回はその模様をお届けします。