サンバル(Sambal)とは、インドネシア料理に用いられる辛味調味料のことであり、インドネシア料理には欠かすことのできない代表的な調味料である。

「サンバル」という名称はジャワ語の Sambel に由来するとされており、その起源はインドネシアにあると言われている。

現在一般的なサンバルの原材料であるトウガラシやトマトはインドネシア原産ではなく、アメリカ大陸、特に中南米が原産地である。
これらは16世紀、大航海時代にポルトガル人やスペイン人によってインドネシアへ持ち込まれたとされる。

しかし、トウガラシが伝来する以前から、インドネシアでは辛味調味料が好まれていた。
当時はヒハツモドキやコショウ、ショウガなどが原材料として使用され、これらをすり潰して作られたものがサンバルの原型とされている。

その後、トウガラシが広まるにつれてサンバルの主原料として定着し、現在広く知られるサンバルへと発展した。

サンバルの特徴として挙げられるのが、その種類の多さである。
地域や民族、調理方法によって味や材料が異なり、数えきれないほどのバリエーションが存在する。

例えば、バリ島を代表するサンバルが「サンバル・マタ」である。「マタ」とはバリ語で「生」を意味する。
バワンメラ(赤玉ねぎ)、ニンニク、トウガラシなどを火を通さずに調理することからこの名がついている。
レモンリーフやライム果汁が加えられ、爽やかな酸味と辛味が調和した人気のサンバルである。

その他にも、エビを加えた「サンバル・ウダン」、ニンニクを多く使った「サンバル・バワン」、
緑唐辛子を使用した「サンバル・ヒジャウ」など、多くの種類が存在する。

また、スーパーマーケットには瓶詰めやパウチタイプのサンバルが多く並んでおり、
手軽に購入できるため土産物としても人気である。

辛いものが苦手な人でも、一度口にすると辛味とスパイスの旨味に魅了されることも多く、インドネシア料理の魅力を象徴する存在と言える。