ジョグジャカルタ王宮(Kraton)は、ジャワ島中部に位置するジョグジャカルタ特別州の中心部にある王宮であり、現在もスルタンや王族、宮廷職員を含めた数百人の人々が暮らしている。「クラトン(Kraton)」とは、ジャワ語で王やスルタンが暮らす宮殿を意味する言葉であり、ジョグジャカルタ王宮も一般的に「クラトン」と呼ばれている。
中部ジャワのジョグジャカルタ地域では、古くからヒンドゥー系やイスラム系の王国が興亡を繰り返してきた。1755年にはジョグジャカルタ王国が成立し、初代スルタンのハメンクブウォノ1世によって王宮の建設が開始されたとされている。
インドネシア独立戦争の際には、ジョグジャカルタがインドネシア共和国の臨時首都となった。当時のスルタン、ハメンクブウォノ9世はインドネシアの独立を支持し、共和国政府に協力した。こうした功績から、インドネシア独立後もジョグジャカルタには特別州としてスルタンによる独自の自治が認められた。
そのため、ジョグジャカルタ王宮は、現在も王族が暮らす場所として、名実ともにジョグジャカルタの中心的な役割を担っている。
王宮内ではスルタンの即位式をはじめ、王室の公式行事やさまざまな伝統儀式が執り行われているほか、週末にはガムランの演奏や、ジャワの伝統的な影絵芝居であるワヤン・クリッを楽しむことができる。また、王宮内には複数の博物館があり、歴代スルタンゆかりの品々や絵画、王室で使用されてきた馬車などが展示されている。
王宮の建築にはジャワの伝統的な建築様式や思想が随所に反映されており、ジョグジャカルタの歴史と文化を現在に伝える重要な場所となっている。