トリ・ヒタ・カラナ(Tri Hita Karana)とは、バリの人々の暮らしや信仰、地域社会のあり方に深く根付いた、バリを代表する哲学のひとつである。「トリ」は数字の3、「ヒタ」は幸福、「カラナ」は原因を意味し、「幸福をもたらす3つの要素」という意味を持つ言葉である。
3つとは、「神との調和」「人々の調和」「自然との調和」である。
「神との調和」は、宗教儀式や供物を通じて、神々や先祖を敬うことを意味する。バリで行われる「ガルンガン」や「クニンガン」といった祭礼も、神との調和を象徴するもののひとつである。
「人々の調和」は、インドネシアに広く根付く相互扶助の精神を意味する「ゴトン・ロヨン」や、地域の共同体である「バンジャール」などをもとに、地域の中で住民同士が支え合いながら生活することを表す。
「自然との調和」は、自然を生命あるものとして捉え、敬意をもって共に生きていくことを表す。特に、バリ島の伝統的な灌漑システムである「スバック」には、トリ・ヒタ・カラナの考え方が深く根付いており、山や川、森などの豊かな自然と共に暮らしてきたバリの人々の価値観を象徴するものでもある。
多くの観光客が訪れるバリ島では、その豊かな自然や独自の文化に目を引かれることが多いが、それらの背景には、自然や人々、神々との調和を大切にするトリ・ヒタ・カラナの考え方が深く根付いている。